2025.10.01

四塩化チタン水溶液を用いた太陽電池の開発

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1.太陽電池について

環境問題やエネルギー資源の枯渇といった課題が深刻化する今日、再生可能エネルギーはより良い未来を築くために欠かせない存在となっています。その中でも太陽電池は、地球を守るクリーンなエネルギー源として注目を集めています。しかし、これまでの太陽電池には効率やコスト、耐久性に課題がありました。そこで私たちは、画期的な素材である四塩化チタン水溶液を活用することで、新たな技術を開発。太陽電池の性能向上に向けた大きな一歩を踏み出しました。

2.四塩化チタンについて

四塩化チタン(TiCl4)は、化学工業や材料開発で幅広く利用される透明な液体の化合物です。チタンは耐久性が高く、軽量で腐食に強いという特徴があり、航空機からスマートフォン、人工骨、スポーツ用品まで幅広い製品に活用されています。さらに、四塩化チタンは、太陽電池や光触媒に使われる二酸化チタン(TiO₂)の生成にも欠かせない存在です。また、この物質は、太陽電池や光触媒、空気や水をきれいにする技術、さらには塗料や化粧品にまで応用され私たちの身近な生活にも深く関わっています。このように四塩化チタンは現代を支える重要な材料なのです。

3.開発までの道のり

四塩化チタン水溶液の新しい用途を探る中で、バルクヘテロ接合型の光電変換素子への応用の可能性が浮かび上がりました。その過程で、小山高等工業専門学校の加藤岳仁教授(https://www.oyama-ct.ac.jp/M/kato/)の研究と出会います。加藤教授は、異なる半導体材料を混合した光電変換素子の研究を行っており、この内容が四塩化チタン水溶液による技術と大きく重なると感じました。特に、四塩化チタン水溶液が持つ優れた特性が、n型半導体材料としての可能性を広げることを提案したところ、加藤教授から賛同いただき、2020年より共同研究がスタートしました。この研究はそれぞれの知見を融合させ、未来への新しい扉を開く成果へとつながりました。

3.研究成果について

研究の中で、四塩化チタン水溶液を用いた光電変換素子で発電性能を確認することができました。この技術は特許として登録され、次世代の光電変換材料として多くの期待を集めています。

①1つ目の特許(特許第7294601号)では、四塩化チタン水溶液を活用してn型半導体層を形成し、さらに微細な構造を加えることで光電変換効率を向上させる手法を確立しました。この技術により、従来以上に効率的な発電が可能となり、新しい太陽電池技術への道筋が開けました。

引用:小山工業高等専門学校ご提供資料

②2つ目の特許(特許第7591740号)では、発電機能だけでなく蓄電性能を持つ光電変換層を開発。カーボンナノチューブを組み込んだ特殊な設計により、発生した電気を効率よくためる全く新しい機能を実現しました。この技術は、発電だけでなく蓄電も行える画期的な太陽電池として従来技術を超える大きな可能性を秘めています。

引用:小山工業高等専門学校ご提供資料

引用:小山工業高等専門学校ご提供資料

5.実用化について

四塩化チタン水溶液を活用した新しい太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池に比べて軽量で、柔軟性に優れているだけでなく、曲面への加工にも対応できるなど多彩な用途が期待されています。さらに、材料が比較的安価で環境への負荷を抑える点からも、持続可能なエネルギーソリューションとして注目されています。この技術は、住宅や商業施設はもちろん、IoTデバイスや災害時の電源といった幅広い分野で活用が進むでしょう。

6.今後の可能性と展望について

四塩化チタン水溶液を基盤とした技術は、未来型エネルギーの重要な選択肢として大きな可能性を秘めています。軽量性、蓄電性能、柔軟な設計特性を活かし、多様な応用先に対応できます。IoTデバイスに組み込んだり、電力網が整備されていない地域への電力供給に貢献したりと、地球規模でエネルギー課題を解決する革新的な技術となるでしょう。また、私たちはこの革新的な技術の認知度を高め、広く世界中の課題解決に役立てることを目的として、WIPO GREENへの登録を行いました。WIPO GREENは、環境課題に取り組む技術を共有する国際的なプラットフォームであり、この登録を通じて、私たちの技術がさらなるネットワーク形成や国際的な協力を促進することを期待しています。この登録が、エネルギーの未来を明るく照らす一歩となると信じています。

この技術を通じて、新しい素材や用途をともに開発し、持続可能な未来を共創していきましょう。

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