2025.08.26

SiO粉末を用いたナノシリコンの開発

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1. SiO(一酸化ケイ素)について

SiOは、化学工業で幅広く利用される化合物です。特性としてバリア性能があり、酸素・水蒸気バリアとして包装材料として利用されています。また近年ではリチウムイオン電池の負極材として活用されており、私たちの身近な生活にも深く関わっています。OTCは、1961年に国内で初めてSiOの製造に成功しました。以来ユーザーと直結しながら、品質向上、低価格化に努めてきました。
参照:当社HP(https://www.osaka-ti.co.jp/product/development/sio.html

2. 開発までの道のり

SiOの新しい用途を探る中で、ナノサイズのシリコンを製造するための原料として可能性が浮かび上がりました。その過程で、神戸大学の杉本泰准教授の研究と出会いました。杉本准教授は、ナノシリコンを塗料へ適応する社会実装に積極的に取り組まれています。
参照:神戸大学HP(https://www.lab.kobe-u.ac.jp/eng-nano/

3. 研究成果について

共同研究の中で、杉本准教授の特許を基にOTCのSiO粉末を出発原料としてナノシリコンの製造を行い、80nm~240nmまでの粒子径のナノシリコンの合成に成功しました(図1,2)。粒子径ごとに分級することで、可視光の広い範囲での発色を示しており(図3)、塗料として活用できる材料であることが確認されました。
参照:特許第7277923号、
   Hiroshi Sugimoto, et al., Advanced Optical Materials, 8, 2000033 (2020) Open access
   (https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adom.202000033

図1. ナノシリコンTEM像
図2. ナノシリコン粒度分布
図3. 整粒後のナノシリコン

4. 発色の原理について

従来の色素を含む塗料は、色素が可視光の特定の波長を吸収し補色で発色します。発色に際して、有機物質の電子励起状態を伴うため、分解されて退色することが課題と言われています。
一方、ナノシリコンの発色はMie散乱を原理としています。シリコン粒子の粒径によりMie共鳴の条件が異なり、粒径ごとに異なる発色をします。シャボン玉やCD裏面などで見られる物体の構造に起因する発色方式の一つで構造色とも呼ばれます。退色が起こらないので長期間にわたって使用することが可能です。

5. 今後の可能性と展望について

ナノシリコンを活用した新しい塗料は、従来のインクとは違いMie散乱を原理として発色します。そのため、わずか1層のナノシリコン粒子を塗装するだけで十分な発色を示します。従来の塗料では、数十μmの膜厚が必要なことに比べて、非常に少ない量で塗料としての効果を得ることができます。この軽量という特徴を活かし、応用先のひとつとして考えられているのがモビリティ塗料であり、軽量化によるCO2排出量の低減が期待されています。

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